車庫証明ってなに?基本編

もくじ

車庫証明とはどのような手続きなのか?

車庫証明という手続きを一言で説明すると、「自動車の保管場所を確保していることを警察署長に証明してもらう手続き」ということになります。

自動車の登録を受けたい人が警察に対して「ここに保管場所を確保したから証明書を発行してください」と申請すると、警察がその保管場所を調査した上で「適正な保管場所が確保されてますよ」という証明書を交付するという流れです。

そこで取得した証明書を、運輸支局に持って行き自動車の新規登録や移転登録、変更登録をします

軽自動車の場合は、車庫証明を取得する必要はありませんが自治体によって「保管場所の届出」が必要です。

普通自動車でも、保管場所のみ変更する場合は車庫証明は不要ですが、警察署に「保管場所変更の届出」を提出する必要があります。

なぜ車庫証明という制度が存在するのか?

車庫証明制度が存在する理由は「道路を保管場所として使用させないことにより、道路上の危険を減らし交通を円滑にするため」です。

路上駐車がまん延していると、交通渋滞が増えたり、緊急車両が通れなくなったり、消火栓を塞いでしまったり、死角からの飛び出しによる事故が増えたりと様々な弊害が生まれてしまいます。

自動車を保有するほぼ全ての人が行う申請であることを考えると、制度維持のために日本中で莫大な時間的コストが掛かっており、市民側の負担の大きさに批判の声はありますが、車庫証明制度のない諸外国の道路事情と比較すると「道路交通の円滑化を図る」という目的には大きく寄与している制度であると考えられます。

車庫証明を取得する3つの方法

車庫証明を取得する方法は大きく分けて3種類あります。

まず1つ目は自動車を購入した販売店に代行を依頼する方法です。
この場合は書類は自分で作成して申請書の提出と証明書の受取りを代行してもらうという形が基本ですが、実際の申請手続きは行政書士が行うパターンもありますのでその場合は書類作成も全て丸投げできることもあります。
自分で書類作成する場合でも書き方は教えてもらえるので比較的簡単な方法ですが料金はそれなりにかかります。

2つ目は行政書士に直接依頼する方法です。
この方法は申請先の警察署の近くにある事務所に依頼すれば自動車販売店にそのまま依頼するよりも値段は安いことが多いという点と行政書士は書類の代理作成や補正・訂正ができるというメリットがありますが、事務所探しや電話、メール、郵送など申請手続以外の部分のやり取りが煩雑になるというデメリットもあります。

3つ目は自分で申請する方法です。
この方法のメリット・デメリットは次の章で詳細を解説しますが、本人申請の場合は警察署の窓口で職員に質問しながら記入することも間違えた箇所を訂正することもできるので必要な情報さえ押さえておけば最も簡単な方法にもなり得ます。
ただし、申請内容の複雑さや職員の対応次第で難易度は大きく変化するので、一回で申請受理されるようにできるだけ情報収集をした上で警察署に行くことをおすすめします。

車庫証明を自分で取得するメリット・デメリット

本人申請のメリット

車庫証明を自分で取得する一番のメリットは何と言ってもお金が掛からないことです。

自分で申請する場合に掛かる費用は移動費などを除くと警察署で支払う手数料だけです。
※手数料は都道府県によって若干の違いがありますが2500~3000円くらいです。
※軽自動車の場合は標章交付手数料(550円前後)のみ納付します。

自動車販売店や行政書士に依頼するとトータル1万円~2万円くらいはかかりますが、その内訳の大半は警察署との2往復の移動にかかる時間のコストです。

車庫証明取得の大半を占める移動の部分はプロでも初心者でも変わらないので自分で申請してしまえばかなり安く済むということになりますね。

もう一つのメリットとしては、委任状や確認書類が不要になるなど提出書類が少なく済むことです。

多くの行政手続きに共通することですが、代理人が申請する場合は本人の意思や内容の真正性を確認するためにひと手間増えてしまいますので、やり方さえ分かれば自分でやった方が楽だというのは往々にしてあることです。

本人申請のデメリット

デメリットとしてはやはり警察署窓口が開いている時間です。
車庫証明申請の受付時間は多くの都道府県で平日の16時や16時30分までです。
土日祝日はもちろんお休みです。

家族や友人に提出や受取りを代行してもらうことは可能ですが、代行の場合は補正が必要になった際にその場での書き直しができず出戻りの可能性が生じます。
※書類を補正・訂正する権原を付与した委任状を代理人に持たせることで窓口での書き直しも可能になります。

もう一つのデメリットは書き方を調べる手間です。
車庫証明は都道府県によって申請書の記入項目やルールに違いがある場合があるため、
書き方をネットで調べても手元の申請書と解説サイトにズレが生じて逆に混乱してしまうこともあります。

都道府県警のサイトに記載例がある場合もありますが、聞き慣れない用語をそのまま使って説明してあったり、全ての項目を説明していなくてサイト内の解説だけで理解することが難しい場合も多いです。

また、警察庁の通達では有効であると明記されている書類であっても、実務上は都道府県警毎の運用方針によって無効の扱いを受けたり書類の書き直しをお願いされたりする場合もあります。

車庫証明申請の流れ

続いて申請の流れを解説します。
車庫証明申請の流れは大きく分けて以下の5ステップです。

STEP
申請書を作成する

初めての場合はここが一番ハードです、特に図面作成。
下手な図面を描いて持っていきたくないという心理が働きますが案外雑な図面でも大丈夫だったりします。
道幅や保管場所の縦横幅などの数字はしっかり書いて持っていきましょう。

STEP
警察署に提出する

これは移動時間が手間になりますがやることは簡単です。
しっかり準備していけば窓口でもスムーズです。
※手数料の納付方法や収入証紙の販売場所は事前に把握しておきましょう。

STEP
警察による調査

完了予定日を待つだけです。
敷地内で車庫の寸法を測りたいとか、質問したいことがあったりすると電話がかかってくる場合があります。
申請の標準処理期間を7日に設定している都道府県が多いですが、実際には普通車で3~4日前後、軽自動車は現地調査がないため即日交付の場合が多いです。

STEP
標章を受取りにいく

申請時に手渡される引換券に記載された予定日以降に受取りにいきます。
新車などで車台番号判明前に申請した場合はこの時に車台番号を記入します。

STEP
自動車にステッカーを貼る

保管場所標章(ステッカー)を貼ったら車庫証明手続きは完了です。
車庫証明取得後に運輸支局で自動車の登録をする場合は1カ月以内に手続きをしましょう。
※運輸支局では車庫証明書の有効期間は証明日から40日として扱っているところが多いですが支局によって異なる場合があります。



以上で車庫証明の手続きの基本的な流れの解説は終わりです。
初めての申請ではわからないことも多く書類の書き方などで苦戦することもあるかと思いますが、申請自体は意外にあっさり完了することも多いので是非本人申請にチャレンジしてみてください。

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